透明性機能を組織で有効にする(管理者向け)
録音中であることを参加者に伝える機能を、組織全体で展開する手順です。
ワークスペース全体で透明性機能を有効にすると、所属する利用者が個別に設定しなくても、会議の参加者へ文字起こし中であることが伝わります。この記事では、全社展開の進め方、社内周知に使える文面、想定される質問への答えをまとめます。プラットフォームごとの設定手順は、それぞれの記事に分かれています。
Enterpriseプラン
機能そのものの説明と、参加者からどう見えるかの比較は透明性機能についてにあります。展開の判断材料としてはそちらを先にご覧ください。
ワークスペース設定の変更には、Pulseのワークスペース管理者権限が必要です。Google Meet 向けの拡張機能配布には Google 管理コンソールの管理者権限が、macOS端末への権限配布にはMDMの管理者権限が別途必要になります。
この記事は、ワークスペース全体に透明性機能を適用する管理者向けです。個人のアカウントだけで設定したい場合は、録音していることを相手に伝える(利用者向け)をご覧ください。
ワークスペース単位での強制適用が利用できるプランの範囲は、UNCHAIN株式会社の提供条件に合わせて記載してください。本記事はEnterpriseプランでの利用を前提に書いています。個人の環境設定からの有効化は、無料プラン・個人プラン・チームプランでも利用できる前提としています。
展開作業の比較
どちらの機能を使うかで、管理者側と利用者側に発生する作業が変わります。
| 自動チャット通知 | ウォーターマーク | |
|---|---|---|
| 対応OS | macOS / Windows | macOS 14.0以降 / Windows 11 |
| 対応する会議アプリ | Google Meet / Zoom / Microsoft Teams | カメラを選択できるアプリ全般 |
| 管理者側の作業 | Google Meet はブラウザ拡張機能の配布と会議チャット設定の調整。Zoom / Teams はmacOS端末へのアクセシビリティ権限の付与 | ワークスペースでの有効化と、MDMによるカメラ機能拡張の事前承認 |
| 利用者側の作業 | Google Meet は拡張機能の導入(配布済みなら不要)。macOSの Zoom / Teams はアクセシビリティの権限の許可 | カメラのインストールと、会議アプリごとのカメラ選択 |
| 前提条件 | なし | 自動チャット通知のいずれかを先に有効にしておくこと |
どちらか一方でも、両方を組み合わせても運用できます。カメラをオフにして参加する会議が多い組織では、自動チャット通知を主軸に据えるほうが確実です。
自動チャット通知の配信のしくみ
会議アプリによって、メッセージを投稿する主体が異なります。配布の段取りに関わるため、展開前に確認してください。
- Google Meet: Pulseのブラウザ拡張機能が投稿します。macOS と Windows のどちらでも動作します。Google Chrome、または Chromium をベースとした対応ブラウザ(Microsoft Edge、Arc、Brave)が必要です。
- Zoom / Microsoft Teams: Pulseのデスクトップアプリがチャット欄へ投稿します。macOS と Windows のどちらでもワークスペース全体に適用できます。macOSではアクセシビリティの権限が必要で、MDMによる一括付与と、利用者ごとの個別許可のどちらでも対応できます。
ウォーターマークの前提条件
ワークスペースでウォーターマークの設定を始めるには、先に自動チャット通知のいずれか(Google Meet、Zoom、Microsoft Teams のうち1つ以上)を有効にしておく必要があります。会議の途中で利用者がカメラをオフにしたときに、その会議ですでに告知が行われている状態を保つための条件です。理由と挙動の詳細は、次の記事にあります。
展開の進め方
全社展開は、次の順序で進めるとつまずきにくくなります。
適用範囲を決める
全社に一律適用するか、特定の部門から始めるかを決めます。Google Meet の拡張機能配布は、組織部門(OU)や Google グループ単位で範囲を絞れます。
社内規程での位置づけを整理する
何のために録音・文字起こしを行い、記録を誰が閲覧でき、どれくらいの期間保存するのかを文書化します。
労使手続を確認する
就業規則の変更が必要かどうかを確認します。手続の要否はこの記事の「従業者を対象とするモニタリングとしての留意点」で説明しています。
周知する
展開の2週間ほど前を目安に、目的と影響を説明する案内を出します。文面のたたき台は、この記事の「社内周知文のテンプレート」にあります。
設定を有効にする
自動チャット通知を先に有効にし、動作を確認してからウォーターマークに進みます。
問い合わせに備える
想定問答を情報システム部門と人事部門で共有しておきます。
展開後は次の3点を確認してください。対象部門の利用者が参加するテスト会議で告知メッセージが投稿されること。ウォーターマークを使う場合、利用者の端末でセットアップが完了し会議アプリのカメラが切り替わっていること。利用者の個人設定から機能が解除できない状態になっていること。
社内周知文のテンプレート
そのまま使えるよう、メール用、社内ポータル掲示用、ウォーターマーク展開用の3種類を用意しました。〔 〕で囲んだ箇所を自組織の内容に置き換えてください。
メール用
件名: 会議の文字起こしツールに「録音中の表示」を追加します(〔開始日〕から)
各位
〔発信部署名〕です。〔開始日〕から、会議の議事録作成に使用しているPulseに、文字起こし中であることを会議の参加者にお知らせする機能を追加します。
何が変わるか 文字起こしを開始すると、会議のチャット欄に「文字起こしを行っています」という趣旨のメッセージが自動で投稿されます。〔ウォーターマークも使う場合はここに追記: あわせて、カメラ映像の隅に文字起こし中であることを示す表示が出ます。〕
なぜ行うか 会議の記録が残ることを参加者に知らせておくためです。社外の方が参加する打ち合わせで、後から行き違いが生じることを防ぐ目的もあります。
各自にお願いしたいこと 〔Google Meet を使う場合はここに追記: ブラウザ拡張機能が自動配布されます。特別な操作は不要です。〕〔ウォーターマークを使う場合はここに追記: 次回Pulseを開いた際に、1回だけセットアップ画面が表示されます。画面の案内に沿って進めてください。所要時間は2〜3分です。〕
この機能は勤怠管理や人事評価には使いません 誰がいつ会議をしたかを集計したり、個人の評価に用いたりすることはありません。利用ルールは〔社内規程名〕に定めています。
不明な点は〔問い合わせ先の部署名とアドレス〕までお願いします。
社内ポータル掲示用
会議の文字起こしに「録音中の表示」が追加されます
〔開始日〕から、Pulseで文字起こしを開始すると、会議のチャット欄に自動で告知メッセージが投稿されます。参加者に記録が残ることを知らせ、あとから認識の食い違いが起きないようにするための変更です。
- 対象: 〔対象部門名〕の全従業員
- 開始日: 〔開始日〕
- 必要な作業: 〔なし、または「次回起動時に1回だけのセットアップ」のいずれかを記載〕
- 利用ルール: 〔社内規程名〕
- 問い合わせ: 〔問い合わせ先の部署名とアドレス〕
参加者から録音について申し出があった場合は、その場で文字起こしを停止してください。操作方法は〔ヘルプセンターの該当ページのURL〕に記載しています。
ウォーターマーク展開用(メール)
ウォーターマークは利用者の端末に作業が発生するため、自動チャット通知とは別に案内すると混乱が起きにくくなります。
件名: 会議のカメラ映像に「文字起こし中」の表示を追加します(〔開始日〕から)
各位
〔発信部署名〕です。〔開始日〕から、Pulseで文字起こしをしている間、自分のカメラ映像の隅に「文字起こし中」であることを示す小さな表示が出るようになります。会議の参加者に、記録が残っていることをその場で分かるようにするための変更です。
お願いしたいこと(所要3分程度) 1. 次回Pulseを開くと、セットアップの案内が表示されます。画面の指示に沿って進めてください。 2. Zoom / Google Meet / Microsoft Teams の設定で、カメラを「〔普段使っているカメラ名〕- ウォーターマーク」に変更してください。アプリごとに1回だけの操作です。
知っておいていただきたいこと - 表示が出るのは文字起こしをしている間だけです。会議中ずっと映像が記録されることはありません。 - 対応環境は macOS 14.0 以降と Windows 11 です。 - カメラの切り替えが済むまで、文字起こしが一時的に止まることがあります。 - 個人の設定からこの表示を解除することはできません。 - この機能は勤怠管理や人事評価には使用しません。利用ルールは〔社内規程名〕に定めています。
手順の詳細は〔ヘルプセンターの該当ページのURL〕をご覧ください。不明な点は〔問い合わせ先の部署名とアドレス〕までお願いします。
想定問答
利用者や労使の窓口から寄せられやすい質問と、回答の骨子です。自社の規程に合わせて調整してお使いください。
Q. なぜ会議を録音するのですか
A. 議事録を正確に残し、会議に参加できなかったメンバーへ内容を共有するためです。議事録の作成にかかっていた時間を削減することと、発言の記録を残して意思決定の経緯をたどれるようにすることが目的です。従業員個人の監視を目的とするものではありません。
Q. 録音を拒否できますか
A. 会議の参加者から申し出があった場合は、その場で文字起こしを停止する運用にしてください。記録済みの部分についても、文字起こしのブロック単位で削除できます。社外の方が参加する会議では、申し出があった場合に必ず停止することを社内ルールとして明示しておくことをおすすめします。従業員が自分の参加する会議について停止を求められるかどうかは、各社の運用ルールとして定めてください。
Q. 記録は人事評価に使われますか
A. 人事評価、勤怠管理、その他の従業員個人の監視を目的とした利用は、社内規程で明確に禁止しておくことをおすすめします。目的外の利用を禁じる条項を規程に置き、あわせて閲覧範囲を会議の参加者とプロジェクトメンバーに限定する設定を行ってください。
Q. 記録は誰が見られますか
A. 既定では作成した本人と、共有先に指定した相手です。ワークスペース全体で共有する設定もできます。組織としてどの範囲を既定にするかは、共有の制御を確認のうえ決めてください。
Q. 記録はいつまで残りますか
A. 保存期間は設定できます。文字起こしの自動削除を参照し、社内規程に定める保存期間と一致させてください。
Q. 産業医面談や人事面談でも使えますか
A. 健康状態や病歴といった要配慮個人情報が話題になる可能性がある面談では、原則として使用しないことをおすすめします。やむを得ず使用する場合は、あらかじめ本人の同意を得てください。個人情報保護法は、要配慮個人情報の取得について原則として本人の同意を求めています。
Q. 社外の方の同意を毎回取る必要がありますか
A. 日本の法律には、会議の録音にあたって参加者全員から同意を取ることを一般的に求める規定はありません。詳しくはAI議事録をどこまで使ってよいか(チーム向けガイド)を参照してください。ただし、告知をしておくことは強く推奨されます。取引先との契約や業界の慣行で個別の同意が求められる場合は、それに従ってください。
Q. ウォーターマークを有効にすると、自分の映像が常に録画されるのですか
A. 録画は行われません。ウォーターマークは、文字起こしをしている間だけ、送信するカメラ映像に表示を重ねる機能です。文字起こしを停止すると表示は消えます。Pulseが取得するのは音声で、映像が保存されることはありません。
Q. ウォーターマークをなぜ個人で解除できないのですか
A. 会議の参加者に記録が残ることを確実に伝えるため、組織の方針として設定しているためです。個々の会議で記録が不要な場合は、文字起こし自体を開始しないことで対応してください。
Q. カメラをオフにして参加する会議ではどうなりますか
A. その会議で自動チャット通知がすでに送信されていれば、カメラをオフにしても文字起こしを続けられます。どちらの告知も行われていない状態では、文字起こしが止まることがあります。ウォーターマークを展開する際に自動チャット通知の併用が前提になっているのは、この挙動のためです。
従業者を対象とするモニタリングとしての留意点
従業員が参加する会議を継続的に録音・文字起こしする運用を導入される場合は、社内規程への位置づけをご検討ください。個人情報保護委員会のガイドラインに関するQ&Aでは、従業者を対象とするモニタリングを実施する際の留意点として、①モニタリングの目的をあらかじめ特定したうえで社内規程等に定め従業者に明示すること、②実施に関する責任者およびその権限を定めること、③実施に関するルールをあらかじめ策定し、その内容を運用者に徹底すること、④あらかじめ定めたルールに従って適正に行われているか確認を行うこと、が挙げられています。あわせて、労働組合等への通知・協議や、従業者への周知が望ましいとされています。
会議の録音・文字起こしの運用ルールを全社に適用される場合、労働基準法第89条により、就業規則への記載が必要となることがあります。就業規則を変更される際は、同法第90条に基づき、事業場の過半数労働組合(ない場合は労働者の過半数を代表する者)の意見を聴く必要があります。
就業規則の作成または変更について、使用者は、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、ない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならないと定めています。会議録音ツールの利用ルールを就業規則または就業規則の委任に基づく社内規程に定める場合は、この手続を経る必要があります。
職場での無断録音を就業規則で禁止すること自体は可能と考えられていますが、ハラスメントの被害者が証拠を残すために行う録音まで一律に禁止し、懲戒の対象とすることについては、その有効性に疑義があるとする見解があります。録音に関する社内ルールを定める際は、法務部門または顧問弁護士に確認してください。
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