話者ラベルを組織全体で設定する(管理者向け)
Enterpriseプランで話者ラベルを組織的に展開する手順、必要な権限、配布時の告知です。
話者ラベルを、従業員が個別に設定しなくても使える状態にするための、IT部門向けの手順です。ブラウザ拡張機能の一括配布、macOS のアクセシビリティ権限の事前付与、配布に合わせた社内周知までを扱います。ご自身のアカウントだけで設定したい場合は、話者ラベルから会議ツール別の手順をご覧ください。
Enterpriseプラン
Google Meet 向けの配布には Google 管理コンソールの管理者権限が、Zoom(macOS)向けの事前付与には対象の Mac を登録している MDM の管理権限が必要です。配布するブラウザ拡張機能とアクセシビリティの権限は透明性機能でも使うため、透明性機能の展開をすでに終えている場合、この記事の配布作業は不要になることがあります。
展開の全体像
配布が必要なものは、会議ツールと OS の組み合わせによって異なります。
| 会議ツール | macOS | Windows | 配布するもの |
|---|---|---|---|
| Google Meet | 対応 | 対応 | Pulseのブラウザ拡張機能(Google 管理コンソールから配布) |
| Zoom | 対応 | 未対応 | macOS のアクセシビリティの権限(MDM から事前付与) |
配布が終わったあとは、各従業員にデスクトップアプリの 設定 > 環境設定 > 話者ラベル を開いてもらい、利用している会議ツールの行が 有効 になっていることを確認してもらいます。確認の依頼文は「展開後に従業員へ依頼すること」に用意しています。
展開前に決めておくこと
日本企業の情報システム部門で全社展開を行う場合、配布作業そのものより、周知と問い合わせ対応の設計に時間がかかることが多くあります。着手前に、少なくとも次の4点を決めておくことをおすすめします。
- 対象範囲: 全社に一律配布するか、特定の部門・拠点に限定するか。限定する場合は、組織部門と Google グループのどちらで区切るかを決めます。
- 周知のタイミングと経路: 配布の何営業日前に、どの経路(全社メール、社内ポータル、チャットの全体チャンネル)で知らせるか。
- 問い合わせ窓口: 情報システム部門のヘルプデスクで一次受けをするか、Pulseのサポート窓口を案内するか。社内の窓口を設ける場合は、「想定される問い合わせと回答」を先に共有しておきます。
- 会議記録の社内ルールとの整合: 話者ラベルを有効にすると、誰の発言かが記録として残ります。会議の記録に関する社内規程がある場合は、規程の記述と矛盾しないかを確認してください。
話者ラベルとして記録される名前は、会議ツールに表示されている参加者の表示名です。氏名が表示名として使われている場合、それが発言内容と結び付いた個人情報に該当しうる点と、その場合に個人情報の保護に関する法律上どのような対応が必要かは、話者ラベルの「話者ラベルと個人情報の扱い」に整理しています。社内向けの利用目的の周知、社外の方が参加する会議での冒頭の告知、社内規程の条文案はAI議事録をどこまで使ってよいか(チーム向けガイド)にまとめているので、周知文を作る前に目を通しておいてください。
Google Meet: ブラウザ拡張機能の配布
Google Meet の話者ラベルは、Pulseのブラウザ拡張機能を通じて動作します。各従業員が Google Meet で使っているブラウザプロファイルに、拡張機能がインストールされている必要があります。
Google 管理コンソールから組織全体に自動配布できるほか、組織部門(OU)や Google グループを使って対象を絞ることもできます。
拡張機能を追加する
Google 管理コンソールにログインする
Google 管理コンソールに、管理者アカウントでログインします。
アプリと拡張機能の設定を開く
デバイス > Chrome > アプリと拡張機能 > ユーザーとブラウザ を開きます。
Chrome ウェブストアから追加する
画面右下の +(プラス)ボタンを選び、Chrome ウェブストアから追加 を選びます。
拡張機能IDで検索する
右上の ID で検索 を選び、Pulseの拡張機能IDを貼り付けます。
拡張機能を追加する
選択 を選んで、拡張機能を追加します。
インストールポリシーを設定する
強制インストール、または 強制インストール+ブラウザのツールバーに固定 に設定します。ツールバーに固定しておくと、拡張機能が入っていることを従業員が確認しやすくなります。
公開時に、Chrome ウェブストア上のPulse拡張機能のページへのリンクと拡張機能IDを、実際の値に差し替えてください。この記事では値を記載していません。
「Chrome ウェブストアから追加」のボタンと、ID で検索する入力欄が写っています。
配布対象を絞り込む
初期状態では、設定は組織全体に適用されます。特定の部門・拠点・チームだけに配布したい場合は、次のいずれかの方法を使います。
方法1: 組織部門(OU)で絞り込む
組織部門は、部門・拠点などの単位で利用者をまとめ、それぞれに別のポリシーを適用するための仕組みです。
- Google 管理コンソールで ディレクトリ > 組織部門 を開きます。
- 対象となるグループの組織部門がまだない場合は、新しく作成します。
- 対象となる利用者を、その組織部門に移動します。
- デバイス > Chrome > アプリと拡張機能 > ユーザーとブラウザ を開きます。
- 左側のサイドバーで、最上位の組織ではなく、対象の 組織部門を選択 します。
- その組織部門に対してPulseの拡張機能を追加・設定します。選択した組織部門に属する利用者だけにインストールされます。
方法2: Google グループで絞り込む
組織部門の構成を変えることが現実的でない場合は、Google グループを使って配布対象を指定できます。複数の組織部門にまたがるチーム(拠点横断のプロジェクトなど)に配布したい場合に向いています。
- Google 管理コンソールで ディレクトリ > グループ を開きます。
- 拡張機能を配布したい利用者を含むグループを新しく作成するか、既存のグループを使います。
- デバイス > Chrome > アプリと拡張機能 > ユーザーとブラウザ を開きます。
- 左側のサイドバーで、対象の グループを検索して選択 します。
- そのグループに対してPulseの拡張機能を追加・設定します。グループのメンバーだけにインストールされます。
たとえば、特定の拠点を表す組織部門には強制インストールを適用し、拠点横断のプロジェクトチームを表す Google グループにはインストールを許可する、という組み合わせができます。段階的に展開する場合は、まず情報システム部門の組織部門だけを対象にして動作を確認し、その後に対象を広げる進め方が安全です。
拡張機能は Google Chrome、または対応する Chromium ベースのブラウザ(Microsoft Edge、Arc、Brave)で動作します。Google 管理コンソールからの強制インストールが適用されるのは Google Chrome です。ほかの対応ブラウザを使っている従業員には、Chrome ウェブストアから手動でインストールしてもらう必要があります。社内で Chrome 以外のブラウザが使われている場合は、事前に利用実態を確認しておいてください。
配布後の各従業員の設定手順は、Google Meet で話者ラベルを使うに記載しています。
Zoom: アクセシビリティの権限の事前付与
Zoom の話者ラベルは、Zoom Workplace のデスクトップアプリと、macOS のアクセシビリティの権限を使います。ブラウザ拡張機能は使いません。対応状況は OS によって分かれます。
権限は各利用者が付与することもできますが、管理下の Mac であれば MDM から事前に付与しておくことで、利用者に権限の確認画面を表示せずに済ませられます。手順は次の「MDM で事前に付与する」にあります。
権限の中身(Pulseが Zoom の画面に表示されている参加者名と発話中の表示を読み取るために使うものであり、画面の録画、音声の録音、カメラやマイクへのアクセスには使われないこと)は、Zoom で話者ラベルを使うの「アクセシビリティの権限について」に説明があります。社内説明でこの点を聞かれることが多いため、周知文にも一文入れておくと問い合わせを減らせます。
MDM で事前に付与する
アクセシビリティの権限は、PPPC(Privacy Preferences Policy Control)構成プロファイルとして配布することで、管理対象の端末に事前付与できます。プロファイルでは、Pulseのアプリを署名情報(チームIDとバンドルID)で指定し、アクセシビリティのサービスに対して許可を与えます。
以下は、そのまま利用するか、自社の環境に合わせて調整するための .mobileconfig の例です。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<!DOCTYPE plist PUBLIC "-//Apple//DTD PLIST 1.0//EN" "http://www.apple.com/DTDs/PropertyList-1.0.dtd">
<plist version="1.0">
<dict>
<key>PayloadContent</key>
<array>
<dict>
<key>PayloadDescription</key>
<string>話者ラベルのために、Zoom から話者情報を読み取る macOS のアクセシビリティ権限を付与します。</string>
<key>PayloadDisplayName</key>
<string>Privacy Preferences Policy Control</string>
<key>PayloadIdentifier</key>
<string>〔逆ドメイン形式の識別子〕.allow-accessibility.pppc</string>
<key>PayloadOrganization</key>
<string>UNCHAIN株式会社</string>
<key>PayloadType</key>
<string>com.apple.TCC.configuration-profile-policy</string>
<key>PayloadUUID</key>
<string>〔生成したUUID〕</string>
<key>PayloadVersion</key>
<integer>1</integer>
<key>Services</key>
<dict>
<key>Accessibility</key>
<array>
<dict>
<key>Allowed</key>
<integer>1</integer>
<key>CodeRequirement</key>
<string>identifier "〔バンドルID〕" and anchor apple generic and certificate 1[field.1.2.840.113635.100.6.2.6] /* exists */ and certificate leaf[field.1.2.840.113635.100.6.1.13] /* exists */ and certificate leaf[subject.OU] = 〔チームID〕</string>
<key>Comment</key>
<string></string>
<key>Identifier</key>
<string>〔バンドルID〕</string>
<key>IdentifierType</key>
<string>bundleID</string>
<key>StaticCode</key>
<integer>0</integer>
</dict>
</array>
</dict>
</dict>
</array>
<key>PayloadDescription</key>
<string>話者ラベルのために、Zoom から話者情報を読み取る macOS のアクセシビリティ権限を付与します。</string>
<key>PayloadDisplayName</key>
<string>アクセシビリティ権限の許可(話者ラベル)</string>
<key>PayloadIdentifier</key>
<string>〔逆ドメイン形式の識別子〕.allow-accessibility</string>
<key>PayloadOrganization</key>
<string>UNCHAIN株式会社</string>
<key>PayloadScope</key>
<string>System</string>
<key>PayloadType</key>
<string>Configuration</string>
<key>PayloadUUID</key>
<string>〔生成したUUID〕</string>
<key>PayloadVersion</key>
<integer>1</integer>
</dict>
</plist>
〔バンドルID〕 と 〔チームID〕 には、Pulseのデスクトップアプリの署名情報(アプリのバンドル識別子と、署名証明書のチーム識別子)を入れてください。この2つの値が実際の署名と一致していないと、プロファイルは配布できても権限が付与されません。値はtharada@the-unchain.comから取得できます。〔生成したUUID〕 は2か所それぞれに異なるUUIDを生成して入れ、〔逆ドメイン形式の識別子〕 には自社ドメインを逆順にした文字列(例: jp.example.it)を入れます。
PPPC プロファイルは、端末が登録されている MDM(Jamf、Microsoft Intune、Kandji、Mosyle、Cisco Meraki など)から配布する必要があります。プロファイルを手動でインストールした場合、システム設定 > 一般 > デバイス管理 に表示はされますが、権限は付与されません。お使いの macOS のバージョンによっては、この画面が「システム環境設定」の「プロファイル」という名称の場合があります。
配布後の各従業員の設定手順は、Zoom で話者ラベルを使うに記載しています。
展開後に従業員へ依頼すること
拡張機能またはアクセシビリティの権限を配布したら、従業員に次の確認を依頼してください。
- デスクトップアプリを開く(最新版に更新されていることを確認する)。
- 設定 > 環境設定 > 話者ラベル を開く。
- 利用している会議ツールの行が 有効 になっていることを確認する。 - Google Meet: 拡張機能がブラウザプロファイルにインストールされていれば、自動的に接続されます。 - Zoom: MDM でアクセシビリティの権限を事前付与していても、初回に Zoom の行の 設定する を選ぶ操作が必要になる場合があります。
行が接続されないままの場合は、Google Meet で話者ラベルを使うとZoom で話者ラベルを使うのトラブルシューティングを案内してください。
- Google 管理コンソールで、対象の組織部門またはグループに拡張機能が 強制インストール として割り当てられている
- MDM の管理画面で、対象の Mac に PPPC 構成プロファイルが配布済みとして表示されている
- 検証用の端末で 設定 > 環境設定 > 話者ラベル の該当する行が 有効 になり、テスト会議の文字起こしに参加者名が付く
社内周知文の例
配布の数営業日前に送る全社向けの案内と、配布当日にチャットへ投稿する短文の例です。〔月日〕には配布日、〔ヘルプデスクの連絡先〕には社内の問い合わせ窓口、〔会議録音・文字起こしツール利用規程〕には該当する社内規程の名称、〔社内ポータルのURL〕には案内ページのURLを入れてください。
全社メール(配布の3営業日前を想定)
件名: 【お知らせ】〔月日〕より会議ノートの話者名表示を有効にします(情報システム部)
社員のみなさま
お疲れさまです。情報システム部です。
〔月日〕より、会議ノートツール〔Pulse〕で、文字起こしに発言者の名前を表示する「話者ラベル」を全社で利用できるようにします。あわせて、必要なブラウザ拡張機能と端末の権限を、こちらから自動で配布します。
■ 何が変わるか 会議の文字起こしで、これまで「自分」「相手」とだけ表示されていた箇所に、会議ツール上の表示名が表示されるようになります。議事録を後から読むときに、どなたの発言かを確認しやすくなります。
■ みなさまに行っていただくこと 〔月日〕以降に、アプリの「設定 > 環境設定 > 話者ラベル」を開き、ご利用の会議ツールの行が「有効」になっていることをご確認ください。表示が変わらない場合は、アプリを最新版に更新してから再度ご確認ください。
■ 配布するもの ・Google Meet をご利用の方: ブラウザ拡張機能(Chrome へ自動でインストールされます) ・Zoom を Mac でご利用の方: アクセシビリティの権限(端末管理から自動で設定されます) ※ この権限は、Zoom の画面に表示されている参加者名を読み取るためのものです。画面の録画、音声の録音、カメラやマイクの利用には使用しません。
■ 記録の取扱いについて 会議の録音・文字起こしの利用範囲は、〔会議録音・文字起こしツール利用規程〕に従ってください。社外の方が参加する会議では、これまでどおり、会議の冒頭で記録を行う旨をお伝えください。
ご不明な点は〔ヘルプデスクの連絡先〕までお問い合わせください。
情報システム部
チャットへの投稿(配布当日)
本日より会議ノートの「話者ラベル」を有効にしました。文字起こしに発言者の名前が表示されます。「設定 > 環境設定 > 話者ラベル」で、ご利用の会議ツールが「有効」になっているかご確認ください。うまく表示されない場合は〔ヘルプデスクの連絡先〕までご連絡ください。詳細は〔社内ポータルのURL〕をご覧ください。
想定される問い合わせと回答
ヘルプデスクで一次対応を行う場合の想定問答です。
| 問い合わせ | 回答の要点 |
|---|---|
| 「勝手に拡張機能が入ったが何か」 | 会議ノートの話者名表示のために情報システム部から配布したものであること、会議の音声・映像を取得するものではないことを説明します。 |
| 「アクセシビリティの権限は何に使われるのか」 | Zoom の画面に表示されている参加者名と発話中の表示を読み取るためにのみ使われ、画面録画・録音・カメラ・マイクには使われないことを説明します。 |
| 「Chrome 以外のブラウザを使っている」 | 強制インストールが適用されるのは Chrome のみであること、Edge・Arc・Brave では手動インストールが必要であることを案内します。 |
| 「Windows の Zoom で名前が出ない」 | Windows は現時点で未対応であることを案内します。Google Meet であれば Windows でも利用できます。 |
| 「過去の議事録に名前を付けたい」 | 話者ラベルは記録中にのみ働くため、過去の文字起こしには適用されないことを説明します。 |
| 「自分の名前を記録されたくない」 | 会議記録の社内規程に基づいて対応を決めます。個人の端末側で権限や拡張機能を無効化すると話者ラベルは働かなくなりますが、運用としてどう扱うかは事前に方針を決めておいてください。 |
| 「社外の相手から記録について聞かれた」 | 会議冒頭での告知の文例と、記録の保存範囲の説明を案内します。AI議事録をどこまで使ってよいか(チーム向けガイド)を社内ポータルからも参照できるようにしておくと確認が早くなります。 |
よくある質問
Q. ブラウザ拡張機能は会議の内容にアクセスしますか
A. 話者ラベルのために、拡張機能が読み取るのは Google Meet の参加者名と発話中の表示です。会議の音声、映像、文字起こしにはアクセスしません。ワークスペースで Google Meet の透明性機能も利用している場合は、同じ拡張機能が会議チャットへの自動告知の送信にも使われます。
Q. 透明性機能のために別の配布作業が必要ですか
A. ブラウザ拡張機能と macOS のアクセシビリティの権限は、話者ラベルと透明性機能で共通です。話者ラベルのために配布していれば、透明性機能側の前提条件も満たされます。ただし透明性機能には、ワークスペース側の設定と、Google Meet では会議チャットの固定表示に関する設定が別途あります。詳しくは透明性機能を組織で有効にする(管理者向け)をご覧ください。
Q. 一部の部門だけ話者ラベルを使わせない設定はできますか
A. Google Meet については、拡張機能の配布対象を組織部門または Google グループで絞ることで、配布しない範囲を作れます。Zoom については、アクセシビリティの権限を配布するプロファイルの適用範囲を MDM 側で限定してください。いずれの場合も、対象外の従業員の文字起こしは「自分」「相手」の表示になります。