文字起こしがうまくいかない

音声が取れない、途中で止まる、精度が低い場合のOS別の対処です。

文字起こしが始まらない、自分の声だけしか拾えない、途中で止まる、といった症状の切り分け手順をまとめます。原因の大半は、システムの既定の音声デバイスと会議ツールの設定がずれているか、OSの権限が付与されていないか、社内ネットワークで通信が遮断されているかのいずれかです。上から順に確認すると短時間で原因にたどり着けます。

補足

Pulseは、パソコンのマイクとシステム音声(パソコンが再生している音)をデスクトップアプリが直接取得して文字起こしします。会議ツールに録音ボットが参加することはなく、別の録音アプリも使いません。動作には、デスクトップアプリ(macOS / Windows)が起動していること、対象の会議のノートを開いている(または新規ノートを作成した)ことの2つが必要です。メニューバーやタスクトレイに常駐しているだけでは録音は始まりません。macOS版は macOS 14 以降が必要です。ウェブ版(ブラウザ)は、すでにあるノートの閲覧と編集だけに対応しており、録音と文字起こしはできません。

文字起こしがどのタイミングで開始・停止するかは文字起こしの仕組みで説明しています。

まず試す6項目

詳しい手順に進む前に、次の6項目を上から順に確認してください。多くの場合はここで解決します。

  1. アプリを再起動する

    macOSはDock、Windowsはタスクトレイ(タスクバー右側の「^」の中)にあるPulseのアイコンを右クリックし、「Pulseを再起動」を選びます。文字起こしの接続が切れたままになっている場合は、これで復旧します。

  2. 音声デバイスを会議ツールと合わせる

    システムの既定のマイクとスピーカー(Windowsでは既定の通信デバイス)が、会議ツールで選んでいる機器と同じである必要があります。手順は「システムの音声デバイスを会議ツールと合わせる」にあります。

  3. 権限を確認する

    マイクと、システム音声を取得するための権限の両方が必要です。手順は「音声の権限を確認する」にあります。

  4. Bluetooth機器と外付け機器を見直す

    Bluetoothヘッドホンや外付けスピーカーを使う場合は、それを既定のデバイス(および既定の通信デバイス)に設定します。BluetoothやUSBの機器によっては音が途切れることがあり、数分で文字起こしが止まる場合は内蔵マイクや別の機器で試してください。

  5. macOSのバージョンを確認する

    Pulseは macOS 14 以降が必要です。それより古い場合は、macOSを更新すると解消することがあります。バージョンは「アップルメニュー > このMacについて」で確認できます。

  6. 言語設定を確認する

    ノートや文字起こしが意図しない言語で出る場合は、多言語対応を参照して会議の言語を指定してください。文字起こしはアカウントまたはワークスペースに設定された言語を使います。

ここまでで直らない場合は、以下の節を順に進めてください。

文字起こしが動いているかを確かめる

実際の会議を待たずに、単独でテストできます。

  1. 音声を再生する

    音声が入っている動画や音楽をパソコンで再生します。UNCHAIN株式会社が用意しているデモ会議の動画を使うと、複数人が話す状況を再現できます。

  2. 新規ノートを作る

    Pulseで「新規ノート」を作成します。

  3. システム音声を確認する

    ノート下部に緑色のバーが音に合わせて動いていれば、システム音声を取得できています。

  4. 文字起こしのパネルを開く

    そのバーをクリックすると文字起こしのパネルが開きます。再生中の音声が灰色の文字で流れていれば正常です。

  5. 自分の声を確認する

    続いて自分で話してみます。自分の声は緑色の文字で追加されます。

確認

灰色の文字(システム音声)と緑色の文字(マイク)の両方が出れば、音声の取得は正常です。どちらか片方だけが出ない場合は、そのデバイス側の設定と権限を確認します。両方とも出ない場合は、文字起こしの処理を行うサーバーに接続できていない可能性が高く、ネットワーク側の確認に進んでください。

デモ動画のURL(編集注記)

デモ会議の動画のURLは、UNCHAIN株式会社のサイトの実際の公開先に差し替えてください。この記事では意図的にURLを記載していません。

システムの音声デバイスを会議ツールと合わせる

PulseはOSの既定の音声デバイスを使って会議の音声を取得します。Google Meet、Microsoft Teams、Zoom、Slack などの会議ツールで選んでいる機器と、OS側の既定の機器が一致していないと、相手の声だけが入らない、自分の声だけが入らない、といった症状になります。設定の場所はOSによって異なります。

システム設定 > サウンド を開き、「出力」タブと「入力」タブを確認します。お使いのmacOSのバージョンによっては「システム環境設定 > サウンド」という名称です。

  • 出力: 「出力」タブで選ばれている機器が、実際に音を鳴らしているスピーカーやヘッドホンであることを確認します。USBマイクを出力先に選ばないでください。USBマイクの中には入力デバイスと出力デバイスの両方として認識されるものがあり、これを出力に選ぶと、他の参加者の音声を分離して取得できなくなります。会議ツール側で選んでいるスピーカーと一致させます。
  • 入力: 「入力」タブで選ばれているマイクが、会議ツール側で選んでいるマイクと同じであることを確認します。外付けマイクを使う場合は、仮想オーディオデバイスを経由せず、そのマイクを直接選んでください。

設定 > システム > サウンド を開きます。Pulseは既定のデバイスとして設定されている出力・入力を参照します。既定のデバイスは、各機器の左側にある丸いボタンで選択できます。

既定のデバイスと既定の通信デバイスに別々の機器が設定されている場合、Pulseは出力(相手の声・システム音声)に既定のデバイスを、入力(自分の声)に既定の通信デバイスを使います。

設定を変更するには、サウンド設定の画面を下にスクロールして「サウンドの詳細設定」を開きます。開いたウィンドウで、使いたい機器を右クリックし、「既定の通信デバイスとして設定」を選びます。同じ操作を「録音」タブでマイクに対しても行ってください。

設定後、会議ツール側で選択している機器と一致しているかを確認します。テストは実際に会議ツールを起動した状態で行うと確実です。

設定 > システム > サウンド > 再生 を開きます。Pulseが使う設定は Windows 11 と同じで、出力は既定のデバイス、入力は既定の通信デバイスです。

変更するには、「再生」タブで使いたい機器を右クリックし、「既定の通信デバイスとして設定」を選びます。「録音」タブでも、使いたいマイクに対して同じ操作を行います。

こちらも、会議ツール側の選択と一致しているかを確認してください。

種別 Pulseが使うWindowsの設定
出力(相手の声・システム音声) 既定のデバイス
入力(自分の声) 既定の通信デバイス
図画面キャプチャ: macOSのサウンド設定

「システム設定 > サウンド」の画面。上部に「出力」「入力」のタブがあり、出力タブで内蔵スピーカーが選択されている状態。

図画面キャプチャ: Windows 11 のサウンド設定

「設定 > システム > サウンド」の画面。出力デバイスの一覧と、各デバイスの左側にある既定デバイス選択用の丸いボタンが表示されている。

図画面キャプチャ: サウンドの詳細設定(Windows 10・Windows 11 共通の再生タブ)

従来型のサウンドコントロールパネル。「再生」タブでデバイスを右クリックし、「既定の通信デバイスとして設定」を選ぶメニューが開いている。

音声の補正機能を切る(Windowsのみ)

音声デバイスに付属する補正機能が、Pulseの音声取得と干渉することがあります。文字起こしが不安定な場合はオフにしてください。macOSにはこの設定はありません。

スタートメニューに「サウンドの設定」と入力するか、設定 > システム > サウンド を開きます。

  1. 各サウンドデバイスの行にある右向きの矢印をクリックして、そのデバイスのプロパティを開きます。
  2. 「オーディオの拡張」(Audio Enhancements)という項目を探し、「オフ」に変更します。
  3. 入力デバイスについても同じ操作を行います。

あわせて 設定 > システム > サウンド で「モノラルオーディオ」をオンにしてみてください。ステレオのままではPulseと相性が悪い音声デバイスがあります。

スタートメニューに「サウンドの設定」と入力して開くか、設定 > システム > サウンド > 再生 からサウンドコントロールパネルを開きます。

  1. 使用するデバイスを右クリックし、「プロパティ」を選びます。
  2. 「audio enhancements を有効にする」(オーディオの拡張機能を有効にする)のチェックを外し、「OK」をクリックします。
  3. 「録音」タブでマイクについても同じ操作を行います。

それでも改善しない場合は、「モノラルオーディオ」をオンにして試してください。

図画面キャプチャ: オーディオの拡張の設定(Windows 11)

Windows 11 のデバイスプロパティ画面。「オーディオの拡張」のドロップダウンが表示され、「オフ」が選択できる状態。

図画面キャプチャ: Windows 10 のデバイスプロパティ

サウンドデバイスのプロパティウィンドウ。「拡張」タブで、オーディオの拡張機能を無効にするチェックボックスが表示されている。

図画面キャプチャ: モノラルオーディオの切り替え

「設定 > システム > サウンド」の画面で、「モノラルオーディオ」のトグルがオンになっている状態。

音声の権限を確認する

システム音声とマイクの両方に許可が必要です。片方だけでは、自分の声しか記録されない、または相手の声しか記録されない状態になります。設定画面の場所はOSによって異なります。

  1. 「システム設定」を開きます。お使いのmacOSのバージョンによっては「システム環境設定」です。
  2. 「プライバシーとセキュリティ」を開き、「マイク」を選びます。
  3. 一覧の中からPulseを探し、スイッチをオンにします。
  4. 同じ「プライバシーとセキュリティ」の中の「画面収録とシステムオーディオ録音」でも、Pulseをオンにします。項目名はmacOSのバージョンによって「画面収録」とだけ表示される場合があります。

権限を変更した直後は、アプリの再起動を求められることがあります。求められた場合は再起動してから、もう一度テストしてください。

デスクトップアプリからのマイク利用が全体でブロックされていないかを確認します。

  1. 「設定」を開きます。
  2. 「プライバシーとセキュリティ > マイク」を開きます。
  3. 「マイクへのアクセス」をオンにします。
  4. 画面を下にスクロールし、「デスクトップアプリがマイクにアクセスできるようにする」をオンにします。

デスクトップアプリからのマイク利用が全体でブロックされていないかを確認します。

  1. 「設定」を開きます。
  2. 「プライバシー > マイク」を開きます。Windows 11 では「プライバシーとセキュリティ > マイク」という名称です。
  3. 「マイクへのアクセス」をオンにします。
  4. 画面を下にスクロールし、「デスクトップアプリがマイクにアクセスできるようにする」をオンにします。
確認

権限を設定したら、「文字起こしが動いているかを確かめる」のテストをもう一度実行してください。灰色と緑色の文字が両方流れれば、権限は正しく付与されています。

ウイルス対策ソフトとエンドポイント保護製品(Windows)

権限も音声デバイスも正しいのに音が取得できない場合は、端末に入っているセキュリティ製品が音声デバイスへのアクセスを止めていないかを確認します。

Kaspersky

Kaspersky のウイルス対策製品が、Pulseから音声デバイスへのアクセスを遮断し、文字起こしが動かなくなる事象が確認されています。Kaspersky を導入していて文字起こしが動かない場合は、Kaspersky 側の許可リストにPulseを追加してください。手順はKaspersky のヘルプ(アプリケーションによる音声デバイスへのアクセスを許可する)に記載があります。

そのほかのエンドポイント保護製品

国内企業では、端末に配布されたエンドポイント保護製品(EDR・資産管理・情報漏えい対策の各種ソフトウェア)が、アプリケーションによるマイクやシステム音声へのアクセス、あるいは外部への通信を制限している場合があります。次の点を情報システム部門に確認してください。

  • アプリケーション単位での音声デバイス利用の制御が有効になっていないか
  • Pulseの実行ファイルが未知のアプリケーションとして監視・ブロック対象になっていないか
  • 通信の遮断ログにPulseの通信先が記録されていないか

製品によっては、遮断されてもアプリ側にエラーが出ず、単に音声が無音として扱われることがあります。「権限は正しいのに緑のバーがまったく動かない」という状態は、この種の遮断を疑う典型的なサインです。

音声のミキシング機器・ソフトウェアを見直す

USBマイクアンプ、オーディオインターフェース、複数のマイク入力をまとめるミキシングソフトなど、音声に追加の処理を挟む機器やソフトを使っている場合、Pulseの取得と干渉することがあります。心当たりがなければこの節は読み飛ばして構いません。

これらを一時的に無効化またはバイパスしてPulseが動くようになれば、原因はそこにあります。使い続けたい場合は、次の点を確認してください。

  • パススルー(ループバック)の設定をオフにする — マイク入力を入力と出力の両方に流す設定です。オンのままだと、自分のマイク音声が他の参加者の音声として文字起こしされます。
  • ステレオの場合は左チャンネルに音声を送る — Pulseはモノラル音声を前提としています。機器がステレオ設定の場合は左チャンネルを読み取るため、音声が左(または左右両方)に送られるようにします。
  • 通話ソフトとPulseの両方に音声が届くようにする — ボイスチャットやマイクの経路が会議ツールだけに向いていると、Pulse側に音が届きません。

仮想デスクトップ環境(VDI / Citrix / Azure Virtual Desktop)

仮想デスクトップのセッション内でPulseを実行している場合、マイク音声だけが取得され、他の参加者の音声(システム音声)が取得できないことがあります。この場合、自分の発言だけが文字起こしされ、相手の発言が欠落します。

対処としては、仮想デスクトップのセッション内ではなく、手元の端末にPulseをインストールして実行してください。仮想デスクトップ上での利用が社内規程で必須になっている場合は、情報システム部門に音声リダイレクトの構成を相談する必要があります。

Bluetoothヘッドセットで音質が落ちる

文字起こしが始まった瞬間に音質が落ちる場合、Bluetoothヘッドセットの仕様による制約です。多くのヘッドセットは、高音質の音声出力とマイク入力を同時に扱えません。Pulseがヘッドセットのマイクを使うと、ヘッドセットは音質の低い通話用モードに切り替わります。

これを避けるには、システムのサウンド設定で、パソコンの内蔵マイクを既定の入力デバイスに設定してください。ヘッドセットは出力専用となり、音質を保ったまま使えます。

補足

macOSでは、Bluetoothヘッドセットを切断して再接続するたびに、既定の入力デバイスの設定が元に戻ることがあります。再接続のたびに設定し直してください。

パソコンを再起動する

システム音声の取得に使うプロセスが停止したままになると、アプリの再起動では復旧せず、パソコンの再起動で直ることがあります。ここまでの手順で解決しない場合は、一度パソコンごと再起動してください。

ネットワークが原因の場合

音声デバイス、権限、再起動をひととおり確認しても文字起こしが動かない場合は、ネットワーク、VPN、プロキシ、ファイアウォール、Webフィルタリング製品が原因の可能性があります。文字起こしは長時間のセキュアWebSocket接続を使うため、社内ネットワークの構成の影響を受けやすい機能です。会議の冒頭は文字起こしされるのに数分で止まる場合は、VPNやプロキシの接続維持時間の設定が関係している可能性があります。

切り分けの手順、遮断されたときに出る症状、許可すべき通信先の一覧、情報システム部門への依頼文のひな形はネットワークと許可リストにまとめています。会社支給の端末でOSの権限や音声デバイスの設定を自分で変更できない場合も、同じ依頼文のひな形に権限設定の項目があります。

それでも解決しない場合

ここまでの手順で解決しない場合は、tharada@the-unchain.com までご連絡ください。次の情報を添えていただくと、調査が早く進みます。

  • 症状の内容(まったく文字起こしされない/自分の声だけ/相手の声だけ/途中で止まる)
  • 途中で止まる場合は、止まるまでのおおよその経過時間
  • 使用していた音声デバイス(内蔵マイク、Bluetoothヘッドセット、USBマイクなど、機種名まで)
  • 使用していた会議ツール(Zoom、Google Meet、Microsoft Teams など)
  • OSの種類とバージョン(例: macOS 15.3、Windows 11 23H2)と、Pulseのアプリのバージョン
  • 「文字起こしが動いているかを確かめる」のテストの結果(灰色の文字と緑色の文字が出たかどうか)
  • ネットワーク環境(社内LAN、VPN接続の有無、プロキシの有無)

会社支給の端末で、エンドポイント保護製品やプロキシの設定内容が分からない場合は、情報システム部門の担当者と一緒にご連絡いただけると、確認の往復が減ります。

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